原麻里子 アナウンサー、社会人類学者、慶大講師、元テレビ朝日アナウンサー、元BBCワールドサービスプロデューサー、ケンブリッジ大学院論文修士 info@haramariko.com twitter id @haramariko
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オックスフォード・ケンブリッジ大学対抗ボートレース

 19世紀、カレッジの学生の大半はパブリック・スクール出身であったが、そのパブリック・スクールが団体競技を取り入れた。その中でも、ボートは運動競技のステイタス・シンボルとして広く認められていた。1829年に、テムズ川上流のヘンリー(Henley) で、最初の両大学対抗ボートレースが開かれた。
 カラーは、ケンブリッジはライトブルー(水色)で、これをケンブリッジ・ブルーと呼ぶ。オックスフォードはダークブルー(紺色)である。そこから、両大学とも、大学代表選手をブルーと呼ぶ。そして、両大学の代表選手をライトブルー、ダークブルーと呼ぶ。
 1836年、ロンドンのテムズ川のウエストミンスターからパットニー間で、2回目のボートレースが開かれた。この場所は両大学にとって便利であったので、レース場に選ばれた。それ以降、毎年、テムズ川で両校のボートレースが行われるようになった。1849年に、パットニー・ブリッジ(Putney Bridge)からスタートし、下流のチズウィック・ブリッジ(Chiswick Bridge)がゴールの4マイル374ヤード(約9.8キロ)の現在のコースになった。1880年代には、オックスフォードとケンブリッジのボートレースが普通のロンドンっ子の間で興味をもたれ、新聞がその記事を掲載するようになった。
 今では、ザ・ボート・レース(the Boat Race) と呼ばれ、テレビ中継もされ、国民的な人気を博す英国の年中行事である。新聞では、各大学の選手紹介やコース紹介のみならず、テムズ川沿いのパブを紹介したりして、レースを盛り上げる。実は、私がBBC赴任の最初の日、このボートレースがあり、早速、ゴールのところの雰囲気を録音したのであるが、テムズ川沿いだから、一般の人も無料で見に来られる。だから、大変な混雑ぶりであった。当日、出勤していた日本語部の人たち全員で観戦を兼ねて出かけた。収録後、皆で、どこかのパブで一杯と思いつつ、どのパブも一杯で入れず、結局、オールドウィッチにあるBBCまで歩いて帰って来て、食堂で紅茶を飲んだのも思い出である。
 例年、ボートレースは大学がイースター休暇中の3月末の日曜日に行われる。2005年3月の第151回ボート・レースはオックスフォードが優勝した。トータルでケンブリッジが77勝、オックスフォード72勝である。
 レース中は、テムズ川の北にオックスフォード、南にケンブリッジの学生が陣取る。応援は「ケンブリッジ」「オックスフォード」と呼ぶだけ。両校とも、チアリーダーも校歌も応援歌もない。英国の春を代表するボートレースのあっさりした応援ぶりには肩透かしである。
 ケンブリッジ大学内ではカレッジ対抗のボートレースも行われる。1827年にユニバーシティーボートクラブの土台が出来て、初めてのカレッジ間のバンプ(bump)というボートレースが始まった。そのときは、5つのカレッジが参加し、バンプスと呼ばれるようになる。 ボートクラブのディナーは、どのカレッジでも最も騒々しいものとして知られている。

無断転載を禁じます。 原麻里子

by anthropologist | 2007-07-08 08:18 | ケンブリッジ大学
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