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ケンブリッジ大学 学位授与式ーセニット・ハウスにて 2
参会者を歓迎した後、シニア・プロクターは、個々の卒業生に学位を与えてよいかどうか、リージェント・ハウス(the Regent House評議院)のメンバーに投票を提案する。反対がなければ、ジュニア・プロクターが帽子を取って、「Placet」といって評議院の黙認を示す。すると、べデル(the Bedells: 式の案内役)が副学長(乃至は、その代理)を高座の正面にある椅子へ導く。そして、新卒業生の紹介が始まる。
カレッジ毎に、学位の高い順に紹介され、その後、MAが紹介される。プロクターが自分の右手で、卒業生の右手を握って、ラテン語で、副学長と大学全体に対して、人格としても学位(学位名)を学ぶ課程によっても、この男女は非常に適当であると私が誓う、この男性(女性)を紹介します、というようなことをいう。 それから、新卒業生の名前が呼ばれ、卒業生は前進し、高座に座る副学長の前で膝をつく。副学長が新卒業生の手をはさんでラテン語で「権威に委託され、私は精霊の父と子の名において、XX(学位名)を認める。」という。それが終わると、新卒業生は立ち上がり、副学長に深くお辞儀をし、セニット・ハウスの博士の扉から外へ出て、学位証明書を受け取る。 慣習によって、新卒業生はキングス(King's)、トリニティ(Trinity)、 セント・ジョンズ( St. John's)カレッジ が最初に来る。その後、創立順、乃至は、大学に認められた順でカレッジの卒業生が続く。手順は大学院の学位でも同じである。ただ、プラエレクター(Praelectors)は同じ学位の学生を最高4人まで1グループにして紹介する。これを卒業生一人一人に対して行うのである。 最後の新卒業生の学位が認められたら、べデルの一人が「Magistri」 (Masters)といい、秩序を求める。全員が立つ。副学長がコングリゲーションを解散し、べデルが率いる行列で、副学長はレジストリー(the Registrary登録吏)、プロクター, 副プロクター(Pro-Proctors)式部官(the University Marshal マーシャル)に従われ、去る。他の出席者たちは行列がハウスを出て行くのを立って見送り、その後で帰る。 「精霊の父と子の名において」学位が授与されるというのはキリスト教的である。卒業生がキリスト教徒で無い場合は、予め、その旨を伝えると、式典の際、キリスト教のthe Trinitarian formula(三位一体説の決まり文句)を用いない。 学位授与式は私がケンブリッジで出席した最も儀式的な会合であった。膨大な数の学位授与を受ける人々がいても、副学長およびその代理が、一人一人に門出のために、象徴的儀式行動をとって呉れるのは嬉しい。 ちなみに、日本では私は大の粗忽者であるが、私がお辞儀をした時に、ギャラリーから「あの日本人はお辞儀が上手だなー」と英語で云っているのが聞こえた。母は、私がひざまずいた後、立ち上がって後ろへ下がるときに、ガウンの裾を踏んで転ぶのではないかと思ったけれど、思いのほか、私のお辞儀は誰よりも上手だったといい、「あんたみたいに粗忽者でも、日本人なのねー」と変に感心していた。 (式典の際、学位取得者を待っている大学関係者) ところで、学位証明書はきわめて簡単なもので、装飾的なものを入手したければ、大学にお金を払って申し込まなければならない。実は、私は、まだ、立派な学位証明書を注文していない!といっても、そういう卒業生は多いと思うけれど・・・。 (Ph.D取得証明書も、こんなに簡単なもの!) 外へ出ると、皆が写真を撮っていた。学位授与式は家族イベントで、世界各国、インド、フィピンなどから、家族が来る。母はインド人のサリーを着ている女性達と一緒に写真を撮りたいといって、インド人一家を驚かせた。 (コングリゲーション後、セネット・ハウス前での卒業生たち) 無断転載を禁じます。 原 麻里子
by anthropologist
| 2007-07-11 16:45
| ケンブリッジ大学
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