原麻里子 アナウンサー、社会人類学者、慶大講師、元テレビ朝日アナウンサー、元BBCワールドサービスプロデューサー、ケンブリッジ大学院論文修士 info@haramariko.com twitter id @haramariko
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女性の政治参画拡大を目指して


  多くの日本人は気付いていないような気もしますが、日本社会は、どこからどこまで男社会です。昨今のジェンダーバックラッシュを見ても、政治がこうした女性の置かれた状況を好転させる措置をとるどころか、改悪へと動いています。どうして、こうなるのでしょうか。

日本は女性の政治的過少代表の問題が大きい国です。即ち、女性議員の議会における割合が有権者の女性の割合を大幅に下回っています。今年の統一地方選挙や参議院選挙で女性政治家の数は増えたとはいえ、女性はまだまだ少数派で、いまだに政治は圧倒的に男性優位の世界です。

世界の国会議員交流を推進する列国議会同盟(IPU)の2007年7月31日現在の調査報告によると、各国の国会(二院制の場合は下院、日本は衆議院)での女性議員の比率は、日本は9.4%で、調査対象の189カ国中98位です。189カ国の平均では、女性は17.5%を占め、日本の参議院の女性比率17・4%とほぼ同じ比率です。衆議院の女性比率は主要先進8カ国中最下位です。

日本でも政策決定の場である議会に女性議員がさらに増えないと、女性の置かれている現状は決してよくはなりません。しかし、権力志向で、自分さえよければいいと自分の出世しか考えず、女性の尊厳を認めない男性たちの言葉を語る女性議員がいくら増えても、改悪を進めるだけです。ですから、女性の地位の向上を考える、ジェンダーの視点を持つ女性議員、そして、同様な男性議員が増えなければいけないのです。議員の意識が重要です。

  女性の政治参画について政策として出来ることは、意識の啓発活動などに限られます。日本の場合は、女性の政治参画の意識改革について、行政は決して熱心とはいえないので、その具体化には市民活動と市民教育、そして、学校教育が重要です。

日本でも 「女性の参画」を目指す市民活動として、女性たちは、どういった社会をつくりたいのか、政策も出していこうという機運が出てきています。その手段としてロビー活動や政策提言を行うことが重要です。そのためにも、女性議員を議会へ送り出さなければならず、また、そのためには、女性議員が生まれることによって何がどう変わるのか、政策の具体像を示すことが必要です。

日本と並んで、女性の政治的過少代表の問題が大きい国であった韓国では、その問題の解決のため、国会議員比例代表候補、広域議会比例代表候補と地域区選出候補に女性を一定数割り当てる「クオータ制」を導入し、04年の総選挙後、現在、女性国会議員比率は改選前の5.9%から改正後は13.4%と二倍以上に高まりましたが、「人間開発報告書」(2006年)の調査対象国平均の18.54%に及ばず、上位三〇ヵ国平均の26.67%の半分にも足りません。さらに、女性の議員増加の方策が議論されています。

 世界的に見れば、韓国のみならず、選挙においてクオータ制を導入している国は大変多いのです。法政大学衛藤幹子教授によれば、これには政党が任意に党の方針として行なうものと憲法や法に基づいて全政党に適用を命ずるタイプの二つがあります。現在、前者は73カ国、163政党、後者は43カ国で採用されています。クオータ制は女性の過少代表を是正するための極めて有効な方策ですが、その是非をめぐる論争は決着のつかない議論となっています。しかし、116カ国が何らかの形でクオータ制を導入しているという事実には目をむけるべきでしょう。日本も女性議員を増やすための手段として選挙制度を工夫する時期に来ているのではないでしょうか。女性が大きな声を上げない限り、男性が圧倒的に優位な政治は変わらないでしょう。

 2007の6月末に、私は女性政治家を増やす運動をしている、財団法人市川房枝記念会理事で、市川房枝元参議院議員の秘書を長年務め山口みつ子さんにお目にかかりましたが、山口さんは、「参政権を持つ数は女性の方が多く、投票率も女性の方が高いのです。今の政治を作っているのは女性といってもいいのですよ」と話されました。私たちはこの言葉をしっかりと胸に刻み、選挙の投票に行こうではありませんか。
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最後に、三井マリ子著「男を消せ!ーノルウェーを変えた女のクーデター」(毎日新聞社)では、その本の帯にあるように、、「ノルウェー政界では、なぜ、女性が大躍進できたのか。そこには、女たちの驚くべき作戦があったー」を紹介しています。是非、皆さんに読んで欲しい本です。



無断転載を禁じます。 原麻里子

by anthropologist | 2007-08-21 16:11 | 女性と政治
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