原麻里子 アナウンサー、社会人類学者、慶大講師、元テレビ朝日アナウンサー、元BBCワールドサービスプロデューサー、ケンブリッジ大学院論文修士 info@haramariko.com twitter id @haramariko
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日本の女は白人の男が好き?ー日本女性へのステレオタイプ


母は私を「英国のポチ」(英国のミケ」と呼んで欲しい)というほど、私は英国を世界で一番良い国だと思っている。でも、本当は、英国で私は嫌な体験を沢山してきた。そうした話を一つ披露したい。

 英国には人種と階級のクロスオーバーがある。有色人種でも階級が高いほど、また、教育の高い人が話す英語を話すほど、英国の労働者階級より上に扱われる。日本人には英国を人種差別が激しい国という人が多いが、確かに、下層中産階級は日本人に対する人種差別意識の強い人が多いといえる。しかし、私は英国は英語差別の激しい国だと考える。どんな英語を話すかで人を判断する国だ。
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(左 エリザベス女王の公式誕生日を祝うTrooping the colour)







 英国人は自ら人種差別意識があるとしてはいる。しかし、私の経験で言えば、ケンブリッジでは人種差別意識はロンドンに較べ極めて少ない。フェロー、大学生、大学院生という、ある意味では同じ階級に属しているからなのかもしれない。街の人々は日本人の私のことは、いつも、パ ンツにセーターなので、大学院生だと思うので親切であった。

英国人のシンガポールで日本の戦時捕虜になった人たちはケンブリッジシャー出身の人が多く、日本に戦時捕虜補償を求めるPOW(戦時捕虜)の姿がよくテレビに映し出されていた。だから、留学前には、私はケンブリッジ人たちは反日的ではないかと心配していたが、それは全く必要のない心配であった。郵便局の窓口で、局員から人種差別と思われる不快なことをされたこともあった。そのときは、私が日本人だからそんなことをするのと大喧嘩した。

 しかし、エスニシティーのステレオタイピングには苦しめられた。それは日本人の女は白人男性が大好きで、簡単に、白人男性と関係を持つというものであった。中国人男子学生たちに聞くと、カレッジのバーでは、皆が、いつも、日本の女の子はいかに簡単に落ちるかという話をしているときいた。

 ケンブリッジは英語を勉強するのには、最高の場所のひとつといわれているので、語学学校の留学生も多い。その日本人女子学生たちがそういうことを実際にしているかどうかは別の問題である。白人には、日本女性=芸者=娼婦というイメージがあるのである。芸者=娼婦ではないのに、彼らはそう思っている。でも、殆どの男子学生は私の前ではそんなことはおくびにも出さなかった。

 BBCへ赴任したときに、新しく出来た外国人の友人たちは私に典型的な日本人のように、人にぺこぺこ愛想笑いをしないで、毅然としていろと注意してきた。私がぺこぺこすると、白人たちはあなたをメイドのように扱うからというのである。だから、私は絶対に日本人独特の無意味なお愛想笑いをしなかったし、今でも、しない。白人の男性は女性が肌を出しているよりも女性の目を見て自分を誘っているかどうか判断するようである。

 ケンブリッジの同じカレッジにカリフォルニア出身のコンピュータ・サイエンス専攻の博士課程の学生Kがいた。彼は最初に私に会ったときから、私の顔を見ると、「自分が日本に行ったときは、女の子達が寄って来て、一緒に写真を撮らせて下さいというんだ」とか、「日本人の女の子はいつも白人のボーイフレンドを探している」とシツコイ。

 私は、「あなたがハンサムだから、日本の女の子に人気があるのよ」と相槌を適当に打ってあげる。すると、彼は私がお愛想を云っているとも気付かずに、無神経に、私の顔を見ると、1年間、同じことを言い続けた。流石に、私は1年位経ったところで大爆発。私がダイニング・ホールで、「レイシスト!(人種差別主義者!)レイシスト!レイシスト!いい加減にしなさい!あなたは、白人の英国人や米国人にそういうことをいうの!?私の肌が黄色いから、そういうことをいうのでしょう!」と大声で泣き叫んだ。

 その時、ホールでは二百人近い学生やフェローたちが食事をしていたが、皆はフリーズしたようにシーンとなった。全員が耳をそばだてて、私が大声で泣き叫ぶ声を聞いていたのである。教育のある白人にとって、「レイシスト!」と呼ばれるほど、恥ずかしいことはないのである。

 ところが、数年後に、また、Kは私に同じことをし、私はダイニングルームで泣き叫ぶことになったのである。

 こうした体験から、私は媚を売らないため、日本の高年男性たちには、私が愛想がなく見えるらしく、私を「なんで、オマエはそんなに強いんだ」となじって来る人も多い。こうした男性たちは英国で、私は愛想よくすると、娼婦扱いされてしまうという経験をいやというほどしてきたからという私の体験を全く考慮しないのですね。外国に住むということは、日本に住んでいるだけなら受けることのない多くの心の傷や悲しみを持っているのです。

無断転載を禁じます。 原麻里子

by anthropologist | 2007-08-26 10:10 | 英国
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