原麻里子 アナウンサー、社会人類学者、慶大講師、元テレビ朝日アナウンサー、元BBCワールドサービスプロデューサー、ケンブリッジ大学院論文修士 info@haramariko.com twitter id @haramariko
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カテゴリ:英国( 10 )

大学生の海外研修の一番の実りは異国からの人々との出会い

  昨日、慶應義塾大学2年生の英語のクラスで、「夏休み中の私のニュース」という内容で英語での発表を行なってもらいました。

 例年、慶應の2年生に様々なタイトルで英語のプレゼンテーションをしてもらっています。初めの頃は、アカデミック・ライティングを担当していたので、そのペーパー発表。それから、ニュース記事のリライト。今年は、初めて、夏休みの体験をニュースの形にして発表という形にしました。今年は、BBCの英語を教えていて、ライティングとプレゼンテーションを教えていなかったので、多くの学生の書いた文は普通の作文のようになってしまっていました。

 ただ、私が感心するのは、私たちの時代と異なり、学生たちが英語で人前で発表するのを厭わなくなったということです。私たちの学生時代は英語で文を書いてきて、それを人前で発表するというのは、英語科や英文科など特殊な専攻の人だけだったでしょう。私たちの時代の学生に較べると、今の学生は文法などのミスは多いですが、発信能力は高まっているという気がします。

 夏休みに海外旅行をした学生がとても多いです。興味深いのは、海外の大学や語学学校で英語を勉強してきた学生たちの話を聞くと、彼らにとって一番の収穫は色々な国から来た学生たちと一緒に寮生活をしたりホームステイをして、異なる考え方の人たちと一緒に時を過ごしたということのようです。英語の勉強よりも新しい出会いということのようです。

 私も大学2年生のときに、英国のホームステイ3週間とヨーロッパ旅行3週間という学生向けツアーに参加しましたが、そのときに体験が、結局は、今の私の人生や職業に大きな影響を与えています。大学時代に、ロンドン市内で道に迷って素敵なところだと思ったあたりに、その後、ロンドン勤務をした時に、住みました。フラットを決めるときには気づかなかったのですが、住み始めて、この辺りが学生時代に一人で迷ったところだと気づきました。不思議なめぐり合わせです。英国へ留学をしたのも、この短期留学の影響が強くあります。
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 (ウェールズの蒸気機関車)

 かつて、英国の上流社会では男の子たちに勉強の最終仕上げとして、家庭教師をつけてヨーロッパ大陸旅行をさせました。それをグランド・ツアーといいます。現在のグランド・ツアーというのは、やはり、若者には大きな影響を与えるということを、改めて、私自身が感じた講義時間でした。

by anthropologist | 2007-10-06 13:50 | 英国

躾の良い英国の犬たち

 前回のブログで、英国では犬はところかまわず、用足しをしないと書きました。

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この写真は、英国の夏の有名なイベント。ロンドン北部の高級住宅街ハムステッド・ヒースで開かれるケンウッドのコンサートです。週末のコンサートに英国人たちは犬を連れてやってきます。
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ご覧のように、英国人たちは芝生の上に敷物を敷いて寝転がっています。
英国人はどこへでも犬をお供として連れて行きます。ですから、公園では、ご主人様と犬は仲良く散歩しているのが普通です。もし、犬が所構わず用足しをしていたら、英国人たちはこんな風に寝転んでコンサートを聴いたりしないですよね。
 
 人間と犬が仲良く共存するには、犬をきちんと躾けないといけないのでは?

by anthropologist | 2007-10-04 21:31 | 英国

日英素人音楽演奏 徒然草

 ミュージカル「エリザベータ」というのは、オーストリア皇妃の悲劇の物語。ウィーンで創られたもので、東宝や宝塚が上演しているので、ご存知の方も多いと思います。

 来年2月に、私が入っているミュージカル・ソングのクラスではミュージカル「エリザベータ」の発表会を行うべく練習に励んでいます。私はジャーナリスト兼回し役のルキーニ役を一部演じます。メインのルキーニはかつて劇団員だったセミプロの方がやります。私の担当部分はとても難しくて苦労しています。夏休み中に、出演者は皆、先生の特別個人レッスンを受け、大分形になってきました。

 2年前に「キャッツ」の発表会をして、私たちはそれに味をしめてやっています。舞台をやるというのは本当に楽しいものです。

 子供時代、私は12年半もピアノを習っていたのに、歌のクラスに通い始めたときは、楽譜が読めなくなっていました。大ショック!かつての日本のピアノ教育は子供を叩いたり泣かせたりして、あまりに厳しくするから、大人になると音楽嫌いになるということを読んだことがありますが、私もその一人。ピアノを辞めてからは音楽に親しむことはありませんでした。クラシック音楽は聴くのもいやというほどのアレルギーになってしまったのです。

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(左はエディンバラ・フェスティバル)



 でも、ロンドンに住んでいた頃は、ミュージカルのみならず、クラシック音楽のコンサートやオペラへよく行っていました。英国では、こうしたところへ行くのが中産階級の社交生活であり、私もよく誘われて行ったわけです。

 私が留学したときに気づいたのが音楽というのは楽しむものということ。カレッジの音楽クラブの発表会でも出演者が楽譜を忘れて最初から引き直したり、二人合わせての出だしが上手くタイミングが合わずにやり直したり。それを皆がワインを片手に楽しむ。日本の機械がピアノを弾くような発表会とは大違いでした。

 今、日本では子供たちはどんな風に音楽の個人レッスンを受けているのでしょうか?



原麻里子 無断転載を禁じます。

 

by anthropologist | 2007-09-20 11:43 | 英国

英語のアクセント

―海外では、話し相手の発音やイントネーションが違うだけで「分かろうともしない、聞こうともしない」人々を沢山見てきましたが、日本では、日本語の出来ない私が何か伝えようとしても、皆さん一生懸命「分かろう」としてくれます。―

 これは、『文藝春秋』(2006年9月号)に掲載された『ゴーン家の「夫操縦法」教えます』での リタ・ゴーン(カルロス・ゴーン夫人)とリシャール・コラス(シャネル社長)の対談にでてくる、ゴーン夫人の言葉です。(p176)

 正に、英国では人はその人の話す英語を聞いて、話を聞くか交渉がまとまるかが決まるというほどです。勿論、日本の大企業の看板を下げている人はどんな英語を話しても、商売ならば、交渉はまとまるかもしれませんが、これはお金の力です。

 この点を理解しないと、特に、英国では交渉において非常に厳しいことがあります。日本人に交渉を代理してもらうときは、その人の英語のアクセントや発音や文法通り話すかなどに気をつけないといけません。

 英国の学校では、長年、アクセントのおかしな児童・生徒を笑いものにし、その子達に恥ずかしい思いをさせて、アクセントを直してきました。今では、そのやり方は子供の心を傷つけるといわれ、正式の学校教育では用いられていませんが、英国人の心の中には、まだまだ、アクセントを笑いものにする習慣が強く残っています。ですから、留学中、私は労働者階級出身の英国人学生の声をほとんど聞いたことがありません!また、電話をかけてきた人の英語のアクセントが可笑しいと、電話を取り次ぐ人の中には電話口で聞こえよがしに、その「奇妙な」アクセントを真似して物笑いの種にしたりする人もいます。そこまで、酷く無くても、電話をかけてきた人を「この人は変なアクセントがありますね」といって、電話を取り次ぐことはよくあります。こんな状況で、「奇妙な」アクセントで英語を話す人が交渉して、自分たちに有利なように交渉がまとまるでしょうか?
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21世紀になって出された英国の社会学の論文でも、学部で英文学、大学院では英語教育を学んで成績優秀(ファースト)で卒業した労働者階級の女性小学校教員が、他の教員たち(複数)に、「そんなアクセント(労働者階級のアクセント)で、よく、英語を教えられるな・・」といわれるという話が出てきます。

 英語はアクセントなんて関係ないという人もいますが、そういう人は本当の英国文化を理解していないような気がします。日本では他人の話す日本語を聞いて、「訛っている」と笑いものにすると、笑いものにした人の品性が問われますが、英国では異なります。ですから、「英語は出来ません」という人に英語の仕事は頼まないことです。「英語は出来ません」という人は英語に厳しい文化を知っているのです。

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-09-09 18:18 | 英国

日本の女は白人の男が好き?ー日本女性へのステレオタイプ


母は私を「英国のポチ」(英国のミケ」と呼んで欲しい)というほど、私は英国を世界で一番良い国だと思っている。でも、本当は、英国で私は嫌な体験を沢山してきた。そうした話を一つ披露したい。

 英国には人種と階級のクロスオーバーがある。有色人種でも階級が高いほど、また、教育の高い人が話す英語を話すほど、英国の労働者階級より上に扱われる。日本人には英国を人種差別が激しい国という人が多いが、確かに、下層中産階級は日本人に対する人種差別意識の強い人が多いといえる。しかし、私は英国は英語差別の激しい国だと考える。どんな英語を話すかで人を判断する国だ。
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(左 エリザベス女王の公式誕生日を祝うTrooping the colour)







 英国人は自ら人種差別意識があるとしてはいる。しかし、私の経験で言えば、ケンブリッジでは人種差別意識はロンドンに較べ極めて少ない。フェロー、大学生、大学院生という、ある意味では同じ階級に属しているからなのかもしれない。街の人々は日本人の私のことは、いつも、パ ンツにセーターなので、大学院生だと思うので親切であった。

英国人のシンガポールで日本の戦時捕虜になった人たちはケンブリッジシャー出身の人が多く、日本に戦時捕虜補償を求めるPOW(戦時捕虜)の姿がよくテレビに映し出されていた。だから、留学前には、私はケンブリッジ人たちは反日的ではないかと心配していたが、それは全く必要のない心配であった。郵便局の窓口で、局員から人種差別と思われる不快なことをされたこともあった。そのときは、私が日本人だからそんなことをするのと大喧嘩した。

 しかし、エスニシティーのステレオタイピングには苦しめられた。それは日本人の女は白人男性が大好きで、簡単に、白人男性と関係を持つというものであった。中国人男子学生たちに聞くと、カレッジのバーでは、皆が、いつも、日本の女の子はいかに簡単に落ちるかという話をしているときいた。

 ケンブリッジは英語を勉強するのには、最高の場所のひとつといわれているので、語学学校の留学生も多い。その日本人女子学生たちがそういうことを実際にしているかどうかは別の問題である。白人には、日本女性=芸者=娼婦というイメージがあるのである。芸者=娼婦ではないのに、彼らはそう思っている。でも、殆どの男子学生は私の前ではそんなことはおくびにも出さなかった。

 BBCへ赴任したときに、新しく出来た外国人の友人たちは私に典型的な日本人のように、人にぺこぺこ愛想笑いをしないで、毅然としていろと注意してきた。私がぺこぺこすると、白人たちはあなたをメイドのように扱うからというのである。だから、私は絶対に日本人独特の無意味なお愛想笑いをしなかったし、今でも、しない。白人の男性は女性が肌を出しているよりも女性の目を見て自分を誘っているかどうか判断するようである。

 ケンブリッジの同じカレッジにカリフォルニア出身のコンピュータ・サイエンス専攻の博士課程の学生Kがいた。彼は最初に私に会ったときから、私の顔を見ると、「自分が日本に行ったときは、女の子達が寄って来て、一緒に写真を撮らせて下さいというんだ」とか、「日本人の女の子はいつも白人のボーイフレンドを探している」とシツコイ。

 私は、「あなたがハンサムだから、日本の女の子に人気があるのよ」と相槌を適当に打ってあげる。すると、彼は私がお愛想を云っているとも気付かずに、無神経に、私の顔を見ると、1年間、同じことを言い続けた。流石に、私は1年位経ったところで大爆発。私がダイニング・ホールで、「レイシスト!(人種差別主義者!)レイシスト!レイシスト!いい加減にしなさい!あなたは、白人の英国人や米国人にそういうことをいうの!?私の肌が黄色いから、そういうことをいうのでしょう!」と大声で泣き叫んだ。

 その時、ホールでは二百人近い学生やフェローたちが食事をしていたが、皆はフリーズしたようにシーンとなった。全員が耳をそばだてて、私が大声で泣き叫ぶ声を聞いていたのである。教育のある白人にとって、「レイシスト!」と呼ばれるほど、恥ずかしいことはないのである。

 ところが、数年後に、また、Kは私に同じことをし、私はダイニングルームで泣き叫ぶことになったのである。

 こうした体験から、私は媚を売らないため、日本の高年男性たちには、私が愛想がなく見えるらしく、私を「なんで、オマエはそんなに強いんだ」となじって来る人も多い。こうした男性たちは英国で、私は愛想よくすると、娼婦扱いされてしまうという経験をいやというほどしてきたからという私の体験を全く考慮しないのですね。外国に住むということは、日本に住んでいるだけなら受けることのない多くの心の傷や悲しみを持っているのです。

無断転載を禁じます。 原麻里子

by anthropologist | 2007-08-26 10:10 | 英国

英国での海外研修

 私が英国へ初めて行ったのは、大学3年の夏休み。ルフトハンザ航空でフランクフルトまで飛び、そこで英国の航空会社の小さな飛行機に乗り換え、ヒースロー空港へ向かった。私は英国でのホームステイつきの語学研修とヨーロッパ旅行を一体化したツアーに参加した。英国に3週間、その後、フランス・スイス・イタリア・ギリシアを3週間で旅して回るという盛り沢山のツアー。私には最初の海外旅行であった。

 ホームステイ先はロンドンのビクトリア・ステーションから急行で1駅のイースト・クロイドンであった。私は現地で買った靴が足に合わず、豆が出来きたのが潰れて化膿し、私は病院へ1日おきに一人で通わなければならないというとんでもない経験をした。勿論、最初はホームステイ先の人が病院へ連れて行ってくれたが、後は一人で通った。今から考えると、英語も出来なかったのに、よくも、そんな大胆なことが出来たと思う。あのときの私は20歳。怖いもの知らずだった。

 語学学校へ通ったのは2週間。先生はニュージーランド人で、いきなり、教室の学生の使う机に座って教科書を私たちに投げて寄越したのには、開いた口が塞がらなかった。私は母の叔母などに、「本を大切に扱わなければならない」などと、いつも言われていたので、小学校からなんと大学時代まで、教科書や参考書にはカバーを掛けて使っていたので、物凄いカルチャーショックであった。

昨今、各大学が語学研修として、大学教員が学生を海外へ引率する、英会話と観光旅行をミックスしたコースを提供している。女子短大や女子大では、それを売り物にしていたりする。しかし、中には現地でも日本から引率した日本人の先生が「英会話」を教えるなどという酷いのもある。この場合、大学は学生を騙して酷いように思えるが、引率を強いられる教員は、まるで、「女工哀史」のような酷い労働条件で働かされているのである。

 私の学生時代の経験からいえば、確かに1週間目を過ぎた頃から、私は突然簡単な「英会話」を話せるようになった。しかし、本当は、1-2週間位、海外で「英会話」を勉強しても、大して役には立たない。帰国したら、英語を忘れてしまうからである。

 重要なのは、私が経験したように、ニュージーランドの女性教師の行動のように、私達から見ると、「いけない」とされている行動をごく当たり前のようにするのを目の当たりに見て、今まで、自分が常識と思っていたことが、決して、常識ではないという、ある意味、文化相対主義的な考え方を学ぶことだと思う。
 
 だから、英国やアメリカへ行ってまで、日本人教員に「英会話」を習っても、何にもならないのである。勿論、引率する学生を選抜し、英国の大学ときちんと提携して、教育・試験まで行っている大学もあるので、すべての海外研修が無意味なわけではない。私自身も、この時、将来は、絶対に、英国の大学に留学をしようと決意したので、私の人生に大きな影響を与えたのは確かだ。

 ところで、その後、BBCでの研修や大学院で多くの講義を受けてきたが、教員が学生に本や資料を投げて寄越したことは一度もない。先のニュージーランド人が英国教員の普遍的な姿とは云えない。

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-07-15 21:13 | 英国

英語ー新しい単語の誕生と導入 

 英国人は英語に非常に煩く、厳しく、文法、発音でその人の教養や知性、能力を判断する。

 しかし、その一方で、英語は新語をこだわりなく受け入れるところがある。ラジオのDJは、流行り言葉を造るし使う。ある時期、DJが頻繁にjolly good(素晴らしくいいね)を連発し始める。すると、しばらくして、ケンブリッジの50代の有名教員が授業中に、その言葉を用いたりする。世界最高の英語の使い手たちも、これは正しい英語ではない、なんてことを言わずに、新しい流行の英語表現を受け入れていく。

 ロンドンに駐在したころは、ロンドンではlovelyのオンバレード。何を云っても、lovelyと答えてくる。時差があって、留学した頃、ロンドンでは、もうlovelyは使われなくなってきたが、ケンブリッジでは、lovelyが市場などへいくと、よく使われていた。その後、ロンドンでは、superbが大流行。OKの代わりみたいのものであるが、1年以上遅れて、ケンブリッジでもsuperbが使われるようになった。

 BBCの有名なニュースキャスターであるジェレミー・パクスマンは、イングランド人は英語の変幻自在な能力を受け入れるのみならず、英国のみならず、英国以外の土地でも、英語の新しい単語の誕生を喜び、それを、進んで、英語の中に受け入れてきたという。この新語を貪欲に取り入れていくあたりにも、イングランドの異なる意見や人を受け入れて、自分の力にしてしまう能力が発揮されている。

 
無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-07-13 15:43 | 英国

「あなたの英語は分からない」 (英国)

 英国人は、自分の都合が悪くなると、直ぐに、「あなたの英語は分からない」という。ケンブリッジ大学の学部で経済学を学んだドイツ人の友人がシティの投資銀行で働くようになった。ドイツ人だから、英語は上手い。ロンドンで、その彼がテニスのラケットを買いに行った。細かい話は忘れてしまったが、彼は店員にグリップが気に入らなかったので、異なるのが欲しいといったら、店員が「そんなのはない」というので、友人が「いや、あるはずだ」といったら、なんと、店員は、「あなたの英語が分からない」と言ったそうだ。後から、別の店員が出てきたので、彼がその店員に聞いてみたら、欲しいものが手に入ったといっていた。

 私もロンドンでクレームをした時に、20歳位の英国人の男の店員が「あなたの英語が分からない」というから、「この国では、クレームをすると、すぐに、「あなたの英語が分からない」というのねー」と言ったら、その店員、悪びれもせず、「そう言ったら楽だからね」って言っていた。

 日本の大銀行や証券会社に派遣されているに日本人や優秀な製品を作るメーカーの担当者が英国人と交渉をするときは、圧倒的に、その会社の中身や商品などが魅力的であるから、日本人の話す英語が訛っていても発音や文法が正しくなくても、商談は成立するかもしれない。しかし、自分の方が圧倒的に有利でないならば、そして、相手の土壌で仕事を進めるときは、日本人といえども、正しい発音で文法通りきちんと話し、書いたほうが絶対に良い。というか、そうでなければ、まず、交渉は相手ベースになると思わなければいけない。そこで、シェークスピアの名文でも引用したり、少し、フランス語やラテン語でも交えて、仕事をしてもらったほうが、評価はグーンと高まるのである。

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(エリザベス女王の公式誕生を祝すTropping the colour)


無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-07-13 15:11 | 英国

イングリッシュ・サマー 英国の上流階級の社交シーズン

 英国でBBCワールド・サービスで働いたプロデューサーとして、私は様々な取材をしましたが、一番想い出深いのは、自分で企画した「イングリッシュ・サマー」シリーズです。英国の夏は戸外で行われる音楽祭やイベントなどが盛り沢山。社交シーズンです。

 私は、この番組のために、グライドボーン・オペラ・フェスティバル、ロイヤル・アスコット、ヘンリー・レガッタ、チャールズ皇太子が出場するポロなど、日本人がこれこそが英国と思うような「伝統的」で、華麗な上流階級の社交イベントの取材を行いました。この取材を通し、また、英国で暮らすにつれて、何故、英国人は「創られた」階級に固執するのかと疑問に感じていました。その社会的・政治的意味については、社会人類学を学ぶようになって分かってきました。
 

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  (ポロ競技に興ずるチャールズ皇太子)

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       (エリザベス女王とチャールズ皇太子)

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    (日本のテレビクルーも取材に)


原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-13 08:57 | 英国

BBCとケンブリッジで学んだこと

  約8年間の英国での職業・学生生活を通して、私が学んだことは、英国人の自由・公正・正義・個人主義の尊重、「人権大国」と呼ばれる英国の一人一人の人間を大切にするシステム、異なった文化の人々と共存するために語り合うこと、そして、論理的・合理的に思考し、それを説明するための言語力の重要性など多々あります。

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 (左 エリザベス女王の公式誕生日を祝して、ロンドンで行なわれるTrooping the colour)



 一方、外国人の能力も英語力で判断すること、「伝統」に固執すること、大袈裟な社交辞令の割には内実が伴わないこと、時間や約束にルーズなこと、効率よく仕事をするのが不得手なことなど、同意し難い点も数え切れません。

 社会人類学は他の文化・社会の人々がどのように彼らの世界を了解しようとしているか、その世界観を理解しようとする学問です。私達はステレオタイプに囚われず、異文化の人々の暮らしから何を学ぶことが出来るのでしょうか。彼らの価値観を見ることで、より良き地球を作っていくべきではないでしょうか。

 私は英国と日本の研究をベースに、(最近は韓国も加わりましたが) 社会人類学の視座から、より良い社会の建設に微力ながら尽くすことを、これからの職業生活にしたいと考えています。


無断転載を禁じます。 原 麻里子
by anthropologist | 2007-06-13 08:46 | 英国