原麻里子 アナウンサー、社会人類学者、慶大講師、元テレビ朝日アナウンサー、元BBCワールドサービスプロデューサー、ケンブリッジ大学院論文修士 info@haramariko.com twitter id @haramariko
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ケンブリッジ大学 成績

試験委員会は全学生のペーパーの点数が出たところで最終会議を開き、成績のクラス分けを行う。学部によっても異なるが、一般的には、ファースト(First)、アッパーセカンド(II-i トゥーワンともいう)、ロウワー・セカンド(II-ii トゥートゥーともいう)、サード(Third)、そして、不合格である。中には、セカンドは2つに分けず、一つにして評価する学科もある。成績評価は科目ごとにつけられるのではなく、すべてのペーパーをまとめて下される。
 また、社会人類学科の場合は、ファーストの上にディスティンクションがあるが、まず、この成績を取得する学生はいない。ファイナルズの成績は学生の一生について回るので、教員たちは評価を公正に行ため、学生の名前を伏せて、議論・検討される。そして、実名入りのクラス分けリストが用意され、それに各委員がサインをすることで、公式な成績と決定される。
 私の知人の中には、会議で、教員たちが彼の成績はファーストかアッパーセカンドかで揉めた後、最終的には、彼の成績はアッパーセカンドになったが、彼はその旨を書いた手紙を学部から貰っていた。
 会議で決定された成績は、直ちに、大学のセニット・ハウス(評議会議事堂:本部)と学部に掲示される。各学部が次々に成績を発表していくので、このクラス・リストがセニット・ハウス(評議会議事堂)前に張り出されているのは2-3日間である。しかし、学部の掲示板に張り出されたクラス・リストは紙の周辺が破れてくるまで、いつまでも張り出されている。英国人の学生は成績をとても気にするので、好成績を取っていない学生には恥ずかしいのではと思う。
 しばらくして、このクラス・リストはケンブリッジ・ユニバーシティー・リポーター(Cambridge University Reporter)という大学の公式機関紙に印刷され、販売される。
 英国では大学間で成績の調整が行われているので、理論上は全国のどの大学の同学部を卒業しても、ファースト(優等)はファーストとされる。ケンブリッジやオックスフォード大学が良い大学とされる一因は、好成績を取る学生が多いという点からも認められている。しかし、実際には、同じ成績でも一流大学ほど学力のレベルは高いと考えられている。

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-30 11:34 | ケンブリッジ大学

ケンブリッジ大学 卒業試験 ファイナルズ

 最終学年の試験(ファイナルズ)を受ける学生たちはファイナリストと呼ばれる。学生たちには、この試験がケンブリッジでの3-4年間の学業の総決算である。英国の大学は単位制ではなく、学期中に提出するエッセイが採点されているわけではないので、学生たちはファイナルズで失敗すると、学位は取得できない。
 英国では、大学院進学のみならず、就職活動の際にも、履歴書に大学卒業時の成績を書かねばならないので、学生達は真剣だ。転職を何回もする英国人にとっては好成績を取ることは重要だ。特に、ファイナルズの成績には、皆、大変神経質である。一流企業は学生に2.1までの成績を取る事を求めてくる。また、大学院へ進学するならば、ファーストか2.1の成績をとらなければ進学出来ない。ファーストを取れば、奨学金を貰って、ケンブリッジの博士課程に進学できることが内定している学生もいる。しかも、原則として、追試はない。だから、ファイナリストはストレスの塊である。
 学生達はそれまでに書いたエッセイを読み直し、文献をチェックし、練習用エッセイを書いたりして、リビジョン(復習)を始める。
 試験は大学のセニット・ハウス(評議会議事堂)など数ヵ所で行われる。学生の席は予め決まっていて、試験時間になると、学生は筆記用具のみを持ち、鞄を部屋の外へ置いて試験場へ入り、自分の席を探して座り、勝手に試験を始めてよい。
 この頃、学部や街で教員たちにばったりと出会うと、皆、髪を振り乱し、ふらふらという感じである。

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-30 09:21 | ケンブリッジ大学

「リリーへの手紙」 アラン・マクファーレン著 社会人類学の概説書

『リリーへの手紙―祖父から孫に伝えたい20のことー』
アラン・マクファーレン著

 日本社会は、自らと異なる異質なものを外国人のみならず日本人のことも「世間を知らない」とレッテルを貼って排除する社会です。また、他人を非難するときに用いるそのものさしも、自分の経験や見聞の上に築かれた、自分の世界観・価値観が絶対に正しいと思う、とても自己中心的なものです。そして、多くの日本人がそのことに気付かず、自ら、生き難い社会を創っています。
 この本はケンブリッジ大学社会人類学科アラン・マクファーレン教授が、これまでの研究の集大成として、人類学の視座から現代社会の理解の仕方について、7歳の孫娘リリーが17歳になったときに読むという設定で書いた手紙を集めたものです。
 教授はこの本の中で、「愛とはなんだろう?」「友達とは?」「家族というのは、めんどうなもの?」という私たちの卑近な問題から、今、社会的に問題となっている「テロリストとはどういうひとたちなのだろう?」「官僚組織の目的とは?」「世の中にはどうして不平等があるのだろう?」「人はどうして一生懸命働くのだろう?」という20の質問に平易な言葉で答えています。
 英国では、この本がラジオで取り上げられるや否や、アマゾンでの売り上げが急上昇。各有力紙(ザ・タイムズ、インディペンデント、ガーディアンなど)も、この本を取り上げました。
 さらに、この本は、日本語のみならず、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、韓国、台湾などの各国語に翻訳され、中国本土でも翻訳が発行されました。
 残念ながら、日本語訳は抄訳で英語版の半分しか訳されていません。しかしながら、日本語版の部分だけでも、多くの読者には人類学の視座から世界には多様な考え方をするひとが多くいて、自分たちはその中では少数派であるということを教えてくれます。また、他人に理解されていないと苦しむ人たちには自分たちは決して少数派ではないということを教えてくれる救いの書としても読めます。さらに、英国理解を深めたい人には英国というのはどういう社会であるかもよく分ります。
 文化社会人類学の概説書は何冊もありますが、私は現代社会の問題を人類学の理論を用いて、これだけ平易な言葉で書いている本を寡聞にして知りません。
 マクファーレン教授は『イギリス個人主義の起源』で学者としての名声を確立した歴史人類学者です。ネパール、イングランド、日本、中国を主たる研究対象にし、人口からみた再生産研究、中世イングランド魔女の研究、日英の対比研究、さらには、お茶やガラスから資本主義の発展を考察する研究などを行っています。これまでは、専門家を対象とした本のみを書き、一般読者を対象とした本は初めてです。
 この本を通して、人類学的視座から見た、現代社会の問題への理解の仕方の一つを学べると思います。

アラン・マクファーレン著 「リリーへの手紙」 田口俊樹訳 ソフトバンククリエイティブ 2005年 1680円
Alan Macfarlane, `Letters to Lily: on how the world works` London: Profile Books 2005 7.99pounds  
本のHPはhttp://www.letters2lily.com/

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-29 14:56 | 人類学

ケンブリッジ大学 トライポス(優等学位試験)2 年度末試験

 試験問題の作成は答案の採点も担当するファースト・リーダー(First Reader)、セカンド・リーダー( Second Reader)と呼ばれる複数の教員が行う。これらの教員は試験委員会(Examiners Committee)に所属する。
 ファースト・リーダーが問題を作成、セカンド・リーダーがその問題が適否を確認する。そして、試験委員会で他の教員たちと設問を検討し合い、試験問題は完成する。さらに、他大学の教員も加わり、試験問題を自分の大学と同じレベルになるように調整する。
 原則として、ファースト・リーダーが採点するが、点が高すぎたり低すぎたり、ファーストかアッパーセカンドかというボーダーラインのとき、セカンド・リーダーも採点するという。多いときは1枚の答案を4人が読んで、意見が分かれるときには、さらに、学外からの試験官も採点に加わる。この場合は、最終的には、学外の試験官が点数を決める。
 学外の試験官が試験委員会に加わるのは英国中の大学が同じレベルの問題・採点基準になるように調整するためである。これはA大学の社会人類学科とB大学の社会人類学科を卒業した学生は同じ成績ならば、A大学の方が入学は難しくても、卒業時には同じ学力を持っているということになる。英国中の大学がこのようなネットワークで結ばれている。
 外部評価制度があるので、教員の学生への温情はきかない。学生たちは大学の学業において努力をしなければ、学位が取得出来ない。

無断転載を禁じます。 原麻里子

 
by anthropologist | 2007-06-29 14:41 | ケンブリッジ大学

ケンブリッジ大学 トライポス(優等学位試験)

 5月中旬から6月中旬にかけて、ケンブリッジでは年度末試験「トライポス」(優等学位試験)が行われる。学生達はペーパー(paper)と呼ばれる試験を3つから4つ受ける。社会人類学科の場合は全て3時間の論述筆記試験である。日本研究のように、外国研究の場合は会話の試験もある。年度初めに、各学部は試験開始日を知らせるようになっている。1つの学科の試験期間は1週間以内である。
 英国では各講義担当の教員が試験をして単位を出すわけではない。試験はペーパーに沿って作られている。例えば、社会人類学科であれば、2年生は4つのペーパーを受ける。2005年度であるが、基本的なペーパーとして、親族と経済、もう一つが、政治と宗教、それから、もう一つが、理論、方法論、調査に関するペーパー。4つ目はリサーチの関するオプションで、人類学と文学、ジェンダー、法人類学, エスニック研究、都市人類学、開発、医療、植民地、ポスト社会主義の中から一つ選ぶ。3年生は、政治経済、思想信念、そして、地域と3つのペーパーを選んで受験し、卒論も書く。または、卒論の代わりに、もう一つオプションのペーパーをとることも出来るが、殆どの学生は卒論を書いている。各ペーパーとも、試験時間の3時間中に、学生は約12問の設問の中から3つ選んでエッセイを書く。
 年度初めに、学生は受験するペーパーを申請し、ペーパーを変更するときはスーパーバイザーの許可を得なければいけない。

無断転載を禁じます。 原麻里子

by anthropologist | 2007-06-28 09:14 | ケンブリッジ大学

ケンブリッジの春は百花繚乱 桜

 ケンブリッジの春は美しい。冬眠していたリスが走り回り出す。キングス、トリニティ、セント・ジョンズ・カレッジと言う、歴史のある建物も立派なカレッジはバックス(ケム川沿いのカレッジの裏側)からの眺めが極めて美しい。よく手入れされた芝生に木々、花々にケム川。私のスーパーバイザーであるアラン・マクファーレン教授はキングス・カレッジのフェローであったので、2週間に1回、スーパービジョンのためにキングス・カレッジへ向かった。私は、いつも、ウルフソン・カレッジに近いバックス側から、キングス・カレッジに入った。
 バックスから入ると、初春のキングス・カレッジの庭は色とりどりの草花で溢れ、正に、溜息を突くほど美しい。そして、その花々は、あっという間に、コロリと代わる。水仙の黄色い花で一杯かと思えば、次に行ったときには、紫のスミレ。気候のためか、例年、微妙に咲く花の時期がずれるので、ある花しか咲いていないかと思えば、一緒に咲いたりする。春爛漫・百花繚乱とは、正にこの光景を指す言葉なのだと思う。
 どのカレッジにも専用の庭師がいて、常に庭掃除をし、コートヤードの芝生、植木、草花の手入れをしている。キングス・カレッジの芝生には、「芝生に入ってはおけない」と各国語で書かれたプレートが立っているが、私のスーパーバイザーのマクファーレン教授は、スーパービジョンの後で、「そこまで送りましょう。芝生を横切りましょう」と、私に対するサービスで芝生の上を先導してくれることがあった。カレッジのコートの芝生の上を歩いてよいという特権がフェローにはあるのである。このフェローがカレッジの芝生の上を歩いてよいというのは、歴史はハッキリしないが、19世紀の発明と言われている。
 英国でも桜の花が咲く。最初に、英国の桜を見たときは、不思議な気がした。いつまでも散らないのである。特に、シティーセンターへ行くときに、学生達が出入りする、ウルフソン・カレッジの裏門にある桜の木には大きな深い赤紫色をしたサクランボがなる。食べてみると、結構美味しい。実は、その木はカレッジの事務所の窓の前に植えられていたので、職員の目もあるし、監視カメラも設置されていたので、実を失敬することは謹んでいたが、私は美味しそうなサクランボだなといつも考えていた。
 英国人たちは桜の花に特別の感情を持っていない。 日本人の私でも、英国で桜を見たときに、その美の中に日本の桜の象徴を見い出さないのは不思議でもある。やはり、桜の花に感傷的になるには、日本でお花見をしなければいけないのかもしれない。
お茶を飲むなら、ユニバーシティーセンターの3階にあるティールームは、ケム川を見下ろしながら、飲めるから最高である。

無断転載を禁じます。 原 麻里子 

by anthropologist | 2007-06-27 17:59 | ケンブリッジ大学

ケンブリッジ大学 講義

 授業は午前9時から午後1時まで1時間毎に行われる。経済学部では正味50分で、前後の10分間は学生の入れ替わりの時間となっているが、社会人類学科では1時間きっちり授業をする。社会人類学科の場合、1年生は少し離れた場所でも授業があるので、授業が始まってから遅れて入ってくる学生が必ずいる。それにもかからず、授業は必ず時間通りに始まる。
 講義は20週間しかないので、授業の進度はとても早い。バンク・ホリディ(Bank Holiday日本の祝日に相当し、必ず、月曜日である)にも、授業はあるし、教員の学会出席のための休講はほとんど認められない。だから、学期の終わりには、学生も教員も疲れ切っている。学生達は口々に体調が悪いと言い出す。留学当初、私も疲れて、カレッジ内を歩けなくなるほどであった。
 この講義の1時間というのは丁度良い長さだと思う。日本の90分講義では学生も先生も緊張を続けるのには努力が必要である。私のスーパーバイザーのマクファーレン教授は、いつも授業が40分位経過したところで、学生に質問はありませんか、首を回してなどと、学生を休ませていた。その他の教員たちも、ちょっとした雑談や簡単な質問をしたりして、学生を休ませる。
 講義は登録制ではないので、学生達は出席してもしなくてもよい。実際には、学期の最初には出席する学生が多いのだが、段々、出席者が少なくなってくる。学生達はエッセイやセミナーのプレゼンテーションの準備で忙しくて、授業に出られなくなってくるのである。私の留学中、社会人類学科では、講義に来る学生がいなくなると、授業はなくなった。
 英国では、講義をする教員が単位を出すわけではないので、「仏」とか、「あの先生はきつい」という学生の評価はない。著名な教員の講義、有用な講義(ペーパーで高得点をとれるという意味かもしれないが)、知的な講義、自分の興味に合わせた講義、分り易い講義をしてくれる授業に、学生たちは集まってくる。単位制でないということは、ある教員の講義内容のみならず、学問を総合的にすることが出来る良さがあるのではないであろうか。

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-26 15:06 | ケンブリッジ大学

ケンブリッジ大学 自転車

 b0048021_21568100.jpg新学年の始まりとともに、ケンブリッジの街では学生達がバイク(自転車)で忙しく行きかう姿が見られるようになる。ケンブリッジ市内は公共交通機関が極めて不便で、学生達は自転車に乗って移動している。英国では自転車に乗る人は頭にヘルメットを被ることが義務づけられているが、さらに、日没後は、自転車にライトをつけなければいけない。また、蛍光ベルトを斜めに襷がけしている人が多い。そして、右折のときは、手信号を出す。オートバイや原付バイクを乗っている学生や教員はいない。街中は自転車禁止区域もあり、自転車を押して歩かなければならなかったりする。

 ケンブリッジの街は平坦だが、街の中心には中世以来のカレッジが並び、馬車用に作られた道は狭く曲がり、一方通行が多い。さらに、観光地ということもあり、市外から来る、道に不案内なドライバーが多い。

 しかも、学部の男子学生たちは授業やスーパービジョンに遅れないようにと、街中にある学部の建物や図書館、カレッジの間を自転車で猛烈な勢いで走る。特に、朝、彼らが自転車を走らせるスピードは半端ではない。私もロンドンに住んでいた頃、ケンブリッジへ車で来たことが数回あるが、一方通行で市内をぐるぐる走らされた上、突然、自転車に乗った学部の学生が飛び出してくるので、肝を冷やしたことが何回もある。だから、自転車に乗った学生が車に巻き込まれる事故が多い。カレッジ内でも、足を怪我して松葉づえを使って歩いていたり、腕を吊っている学部の男子学生を良く見かける。また、毎年、自転車事故で亡くなる学生が1-2人は出る。亡くなった場所に、「私たちは永遠にあなたを忘れない」という悲しみの言葉が書かれたプラカードと花束が置かれるのだが、一年も経つと、人々はそんな事件をすっかり忘れ、プラカードもなくなる。あの大袈裟な言葉はなんだったのかと思うが、この辺りが英国らしい。

 慣れてくると、不思議と自転車が走る音で、どんな人が来るのか分かる。私のカレッジにいた日本人の若きエリート官僚K氏は錆びたような自転車にいつも乗っており、カレッジから歩いて5分以内の距離で、遠くから、ギコーギコーとひときわ大きな音がしたら、いつも彼であった。

 私がケンブリッジにいた頃、学生達はお金がないので、中古の自転車を買っていた。従って、ケンブリッジでは他の町よりも中古自転車が高いと言われている。「新車を買うとすぐに盗まれてしまうから、買うな」というのである。中には、駐輪の際、車輪やサドルを外して持って歩いて、自転車の盗難を自衛する人もいる。

 ある時、街の中心部で、私と同じステアケースに住んでいたマレーシア人の男性にばったり会った。その男性は学部の横に「夫婦の自転車を2台一緒に繋いでおいたら、2台とも盗まれた」と大憤慨していた。1度に2台盗むとは、要領の良い泥棒である。また、日本人学生の一人は自転車をよく盗まれていた。彼の先輩が帰国する時、その彼に、「この自転車は駅前の駐車場に、カギをかけないで放置しても絶対盗まれない自転車だから」と渡したのに、それから1週間もしない内に、彼の自転車は盗まれた。自転車泥棒は人を見るのだろうか?

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-25 14:54 | ケンブリッジ大学

ケンブリッジ大学 コスモポリタン・カレッジーウルフソン

 ウルフソン・カレッジはシティ・センターから西に徒歩20分強のニューナムという地区にある。ケンブリッジでは、1870年代まで、フェローは独身でなければならなかった。だから、郊外のニューナムに、フェローたちは愛人を置き、その愛人との間には子供もいたといわれる。その後、フェローの妻帯が認められ、フェローたちはこのニューナムとニューナムを縦断するウエストロード付近に居を構えた。カレッジに住む日本人留学生が盗難保険をかけようと思ったら、ニューナムは英国で一番盗難の少ない地域で、保険額は一番安いと話していた。

 ニューナムには、ウルフソン・カレッジの他、女性ばかりのカレッジであるニューナム・カレッジ、コンビル・キーザス・カレッジの大学院生のための住居用の建物がある。また、その他のカレッジ所有の建物も多く、居住者のほとんどが大学関係者で、静かな高級住宅地である。

b0048021_2043062.jpg 1965年、ウルフソン・カレッジは大学の近代化に伴って、増加する大学院生と教員、研究者のために、大学が主導して、ケンブリッジの歴史上初の男女共学のカレッジである「ユニバーシティー・カレッジ」として創設された。このカレッジの目的は教員のためのフェローシップを提供することであった。学生は殆どが大学院生で、少数がマチュアー・スチューデント(21歳以上の学部生)であった。

 産業界や内務省などと連携して、英連邦の警察官を対象にしたものや、ジャーナリストを対象にしたものなど、様々な奨学金つきのショートコースがあった。これらのコースは大学とはあまり関係はないが、正式な大学の地位にはいない様々な人々の教育・研究のベースとしてサービスするような役目を担っている。 しかし、その対象となる国籍の規定はかなり限定されていて、いずれのコースも日本人は応募することは出来ない。

 1973年、ウルフソン・ファンデーションの寄付により、現在のメイン・ビルディングがさらに建てられ、カレッジの名称はウルフソン・カレッジと変わった。その際、エリザベス女王が列席したというプレートがカレッジのダイニング・ホールにはめられている。フォーマル・ホールでは、その日のマスターがこのプレートの前に座ることが多い。現在、このカレッジには70カ国以上の国籍の人が所属し、学生の3分の2が留学生である。尚、無宗教である。

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    (エリザベス女王のカレッジ訪問記念のプレート前で)

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-24 17:25 | ケンブリッジ大学

ケンブリッジ大学 メイ・ウイーク

 試験が終わると、学生達はその結果を大変心配する。しかし、また同時に、学生にとっては最も楽しいシーズンの到来である。メイ・ウィークというのはイースター・タームの試験が終わった直後の1週間を言う。だから、実際には6月のイベントである。実質上は、試験の終わった学部からメイ・ウィークが始まる。遅く試験が行われる学部の学生は皆が遊んでいるのを横目に勉強しなければならないから辛い。

 ところで、何故、メイ・ウィークが6月にあるのか。1882年に、大学が主要な試験を1月から5月に移動した。それ以来、メイ・ウィークは6月に行われるようになったのである。 学生達は勉強から解放され、パント、コンサート、芝居、パーティーと遊びまくる。カレッジの庭でバーベキューパーティーを開いたりする。カレッジ主催のガーデン・パーティーでは、紅茶やお茶、サンドイッチ、ケーキが振舞われる。コーラス・グループはコーラスを披露。毎日が遊びである。

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  (ウルフソン・カレッジのティー・パーティー)

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  (ティー・パーティーでフェローと学生たちの演奏)

 やはり、皆が出かけるのはパンティングであろう。パンティングとはケム川を小さな舟で巡ることである。3月下旬から10月下旬まで行われている。パントを進めるには、パントの後ろに立って、長いポールを持て、前にさし、川底ついて、それを後ろへ押し、パントを前へ送る。これがなかなか難しく、パントがくるくる回ってしまうこともある。どのカレッジも自前のパントを持っていて、カレッジのメンバーなら、1時間約2ポンドで貸してくれる。パントを進めていると、カレッジの庭からケム川に飛び込んで泳ぐ学部生もいるのが見える。私はパントでグランチェスター(Granchester meadows)まで行こうとしたが、一度も成功したことはない。かなり大変なのである。

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 ウルフソン・カレッジのすぐ近くにある女子学生専門のニューナムカレッジは大変美しい。建物は赤レンガ造りで庭は百花繚乱。夏にはリンゴの花が咲き乱れ、リンゴが沢山なる。それが手に届くところにある。私はこの庭を初めて見たとき、子供の頃に読んだ「秘密の花園」とは、こういう庭だったのかしらと思った。ガーデニングをする人には憧れの庭ではなかろうか。メイ・ウイーク中に、この庭で開かれたストロベリークリームを食べるパーティーに呼ばれたときは、至福の慶び。また、卒業を前にした学部学生たちと、庭で演じられたシェークスビアの野外劇を見たのも楽しい想い出である。私のスーパーバイザーである社会人類学科のアラン・マクファーレン教授に勧められたのだが、これはお勧めの見ものである。英国では、このように、野外でシェークスピア劇を演じるのが盛んである。街で俳優や女優が衣装を着て宣伝をしている。

 クライマックスは、この時期、各カレッジで開かれる学生主催のメイボールである。ボールとはいうが、現在は、ソーシャルダンスはない。ディスコである。花火が上がる。パントがついていたり、朝食は、コンコルドに乗って、パリでシャンパンつきというカレッジもあった。食事がつき、出店ありで楽しい。テントが張られる。サバイバーズフォトがある。これは、「生き残った」学生たちの顔を写真に撮るということである。明るくなった空の中、礼装をした徹夜明けの学生たちが帰途につく。

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   (セント・ジョンズ・カレッジのメイ・ボール)

 有名なカレッジのチケットを入手するのはかなり難しい。そして、チケットはとても高い。学生達は誰とメイボールへ行くかが大騒ぎ。当日、女性はイブニングドレス、男性はタキシードを着て出かける。初夏の夕べに美しいカップルが街を歩く。学生達は徹夜で騒ぐ。私は、一年目に、最も人気のある一つであるセント・ジョンズ・カレッジのメイボールに出かけた。知人たちの話では、その日の地元の夕刊紙「イヴニング・スタンダード」に私の写真が大きく載っていたというのであるが、自分では確認できなくて、とても残念。

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(セント・ジョンズ・カレッジのメイ・ボールで)

無断転載を禁じます。 原 麻里子

by anthropologist | 2007-06-24 09:04 | ケンブリッジ大学